某大学附置研究所。
そこに政府認定の【特別な】罹患者が秘密裡に収容されている。
彼らを治療する心理学の権威【Dr.レイクス】は、アナタが師と仰ぐ天才だ。
著書を耽読し、彼に師事してきた時間は自身の熱意の賜物であり、アナタは数年間で得た学びに満足していた。
だが、テキストのみの会話には限界も感じていた。
表情と声から伝わる情報が加われば、師から更なる薫陶を得られるはずなのだ。
数日前、師が実施する臨床試験への参加を打診された。 それにはある条件が添えられていた。 アナタは快諾した。
今、アナタのモニターには9名の罹患者が映されている。
【W型症例者:バタフライ】と認定され、アナタを「先生」と呼び親しむ者たちだ。
この52週間、アナタは助手として1対1のカウンセリングを続けてきた。
彼らは一様に「自分はもう正常だ」と訴えてくる。
その彼らが、同じ部屋に集められていた。
こんなことは初めてだ。
《特定条件SPH-360ニ於ケル偽証ノ有意差測定試験》
被験者ハ9名。皆、精神疾患ヲ認ム。
2名ハ異常犯罪者(シリアルキラー)、危弁ニテ他者ヲ弄ス。"人狼"ト称ス。
1名ハ虚言癖有リ、"狂陣"ト称ス。
2名ハ特異能力者。"予言者"、"狩人"ト称ス。
試験官となったアナタの目的は、"人狼"と残り7名の正体を見抜くこと。
それが適えば、師に見(まみ)えることが許されるのだ。
【Dr.レイクス】の後継者として、その叡智を授かる者として──。